チェロと歩む 

チェロ弾きの日々の氣付きと学びの記録。
チェロと毎日をもっと自分らしく、心地よく楽しむために。
~清野佳子のブログです~

2015年06月

先日、東京文化会館の小ホールでのコンサートに参加させて頂きました。

芸術の殿堂である、あの舞台に上がるのか。
そう思うだけで、緊張してきました。

素晴らしいホール、きっといい響きに違いない。
そう思うと、響が演奏を助けてくれるのだと思えました。


コンサートに向けて、自分の状態や気持ち、その時の周りの様子を受け止めてみることを、実際にやってみました。
少し長くなりますが、流れを追って振り返り、書いてみました。



数日前

ホールのリハーサル室で練習がありました。
早めに行って、会館の周りを歩いてみました。

上野公園は緑が豊かで、美術館がいくつもあり、動物園もあり、土曜の夕方はたくさんの人で賑わっています。
どっしりと落ち着いた建物、ガラス張りのロビーからの明かりが見えます。
建物をぐるりと外からゆっくり見ていきました。
ホールの裏に野球場があることに、はじめて気がつきました。
夕刻、まだ明るかったですがナイター照明がついて、試合をしているようでした。
日が長くなってきたな、と思いました。夏至の少し前でした。
ネット越しにその様子を見ている人もたくさんいました。
公園に集う人たちの、生き生きとした活動があり、そしてまた、穏やかな時間が流れています。
小ホールロビーから見える景色を、周囲の公園の方からゆっくり眺めてみると、
なるほど、美しい眺めはこのように良く考えられ、整えられているのだな~と思いました。

中に戻っていくと、大ホールはバレエの公演が終わって、撤収作業をしていました。
大きな衣装ケースが楽屋周りにたくさん並んでいます。
ラ・バヤデールだったようです!
(二キヤの踊りではチェロの美しく悲しいメロディーが奏でられるのです♪)
道具がどんどん片づけられていく気配、ホールそでから聞こえてくる音や声。
華やかなにぎわいの後の舞台裏のお仕事を垣間見ました。

リハーサルでは、共演者の皆さんのお顔を良く見よう~と思ってみました。
録音も取ってみました。
それでも、まだかなり緊張感がありました。

その後、どうしたらいいかなと~思い、頂いたプログラムのお名前をひとりひとり読んでみていると、この方たちと一緒に演奏するのだなと、なんだかあらためて演奏へ気持ちが高まりました。



前日

アレクサンダー・テクニーク教師になられた先輩に、なんとサポートをお願いすることができ、じっくりと本番の為のレッスンをして頂きました。

今どんなことを考えているかを問いかけられ、
自分の気持ちを言葉にし、
身体への気付きをもてるよう、働きかけてくださいました。

どんな思いがある?
役目を充分に果たせるだろうか。
どんなことを大切にしたい?
共演者と音楽と、共にあるように。

どんな風に考える?
こう思って弾いたら?
そうすると、身体は、演奏はどうなる?

目はどう見えている?周りはどんな風に見えている?
楽譜を見ようとする目にも緊張があることが分かります。
見えている、聞こえている、情報は向こうからやってくる。
そう思えると、身体は緩むことができました。
空間認識、自分のいるところからある場所への意識をつなげどんどん広げていくと?
今の立ち位置を明確にしていくと、頭の中だけのぐるぐるする思考から抜け出せるようです。

身体の立体、身体の後ろ側もあり、側部もある事を思う。
椎骨の椎体は身体を支えてくれている。
反対方向へ、かかる負荷に対抗する、抗重力のパワーの仕組みが身体の中にある。
身体の脇の部分もある事を思うと、胴体のつながりは肋骨や肩甲骨と腕の動きをを支え、そのつながりをもって伸びやかに動ける。
などなど、まだいろいろありました。

いろんな問いかけや提案を受けてみますと、思考が演奏に即影響することがわかります。
思いだしていくことで、思考の変化で起きることに、
「ああ、そうだな」と、あらためて信頼を持つこともできました。
自分への働きかけは、
頭が動けるようにと思い、そうすることで自分全体がついてくる。
いつも、またここから始めよう。


たくさんの問いかけを整理してみると、
やはりパフォーマンスの為に大切な4つの要素にまとまりました。

・自分全体の伸びやかなあり方を選ぶこと。
・作品、歌詞やメロディー、音楽ヘの理解・共感。
・共演者や聴衆とつながる。関わってくれている人達への感謝。
・空間認識を持つ。会場、周りへの広がり、音響がみな関わっている。

思いを巡らせ、それぞれとつながってみる。
今のそのままの自分でやろう。
ねばならねを手放していい。
楽しもう


当日

ロビーの様子もぐるりと歩いて良く眺めてみます。
先日外から眺めていましたので、ホールの周りもイメージできます。
昼間のロビーは、夜とはまた違う雰囲気ですね。

ホールではピアノが調律しています。じゃまにならないよう、静かに客席を歩いて、触って、いろんな場所から眺めてみます。
KIMG0465
壁や、椅子や、通路の質感。
温度や匂い。

色合いや、陰影、光。
この青い椅子は、卒業した音大のホールと同じようだな~と、親しみを覚えました。


もう一度、先輩が来て下さいました。(感謝!!)
大切なこと、つながるものを思い出します。

足の下に、頭の上に、後ろに、見えないそのずっと奥にも広がりがある。
舞台、ホール、舞台そで、ロビー、楽屋、建物、公園、地面、夜空、星。
その関係性の中にあることも思ってみる。

頭が動けるようにして、そうすることで自分全体が働くことを信頼する。
そうやってやっていくのだ、と思う。


それからリハーサルが始まり、その響を聴きながら、客席にしばらく座ってみます。
扇形の配置の客席からの眺めは、銀色の波型の独特な反響板が大変印象的です。 

ステージからは、客席の奥から斜めに天井が高く広がり、全体が銀色に光を反射していてとても美しかった。
その下に広がる空間は、銀の光に柔らかく包み込まれるような感覚でした。

音響は、とても素晴らしかったです。KIMG0467
気持ち良く響いて、ああ、やっぱりすごいホールです。

共演者とのコミュニケーションが大切です。
演奏位置を試してみたり、バランスを聴いて頂いたり。

ゲネプロをし、段取りを確認し、よし、これで本番を迎えるのだ、という皆さんの高揚感が満ちてきてます。
この場に共にいられることを嬉しく思い、感謝の気持ちが沸いてきます。


そして本番

600人を超える満席のお客様と共にコンサートが始まりました。
楽しいお話や豊かな音楽が、その場を見事に作りあげていきました。

さあ、舞台袖から出ていく時、実際に満席のお客様の眼差しを受け、
笑顔で歩きだすことができました。
できることを、今精一杯やるしかない。

周りと自分と切り離すことなく一緒にいて、つながりながら、
一つ一つ、今やることを、その時その時大切に思いながら、
頭と身体に気付きながら、方向付けながら、
そこに(ここに)いることを、やってみよう!
と思うことができました。

役目をなんとか終えることができました♪
十分に果たせただろうかと、問うことはたくさんあるのですけれど、
それでも、とてもいい日だったと思えます。

どんな自分でそこにいられるかは、
どんな考えをもてるかということに尽きる

ということを体験しました。


サポートして下さった江利子先輩*、ありがとうございます。(*関連記事あり)
そして共演者の頼もしい存在に支えられ、
知的で暖かく、情熱持った皆さんと共に過ごせたこの幸せに、感謝しています。
打上げも和やかで、美味しくて、とても楽しかったです。
クール・ルシャンの皆さま、ありがとうございました。


聴きに来て下さった方たちの感想では、
素晴らしい歌声はもちろんのこと、
お話や構成の凝ったコンサートをとても楽しまれていました。
素晴らしい集客力にも、驚かれていました。
私も、次回は是非聴きに行ってみたいと思います。


最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。


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BODY CHYANCEで学んだこの2年間。
Thinking Body、Body Thinking 
2つのコースを修了し、
資格認定を頂きました。

こころとからだの両方がつながっていること、
自分自身や、周りのことと、
どのように向き合っていったらいいのか、
考えることが、勉強でした。

そのつど学んだことを、
どのように実践していくかは、
いつも小さなチャレンジの連続です。

上手くいかなさに落ち込んだり、
動揺したりする自分と付き合い、
そこで自分のこころとからだのつながりを信頼し、
その時々を受けとめながら、
そこからまた新たに臨むこと。

まだまだ、
ずっとこのチャレンジはつづきます。

ほんとうに大切なことを思い、
ここに、穏やかにいられたら。

このさまざまなチャレンジを、
KIMG0457分かち合い、
寄り添っていけるようなお手伝いが、
できるようになりたいと思っています。

心を開いて、
学ぶことの幸せ、
共にいてくれる人のいる幸せ。

こころより感謝致します。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。




風に揺れる立木をながめ、
木々の幹・枝葉は、
上に伸びて広がっていくエネルギーなのだなぁ~と思う。

見えないけれど、
地下では対称にしっかりと根を広げているのですね。
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勢いよく飛び立つ小鳥。
軽やかに伸びやかに羽ばたく。
眼差しの先に何が見えているのでしょう?

ダンスの美しいステップ、躍動するエネルギー!
あの素敵な動きを作っているのは、何でしょう?
笑顔の奥で、頭のてっぺんから指先まで、意識していくのだなぁ。

身体が動いて足が出て、バランスが移る。
手を運び、腕から身体を導くように動いていく。
そこに、本当にたくさんのことがある。

頭が動けるようにと思い、自分の全部がついてきて、そして動く。
動きたいと思ったら、上を思う。
身体が上に向かっていると、動きやすい~♪

自分の前、まわりの空間。
視線や動きには、どんな意図や方向性があるだろう?
どんな思いがあるだろう。

今できること、今めざすこと、
もう少し、もう少し、またその次がある。
1つ1つたどっていこう。

ほんの瞬間の積み重ねが、何かを作っていく。
意識的に、今また新たに選んでいくことを、楽しもう~♪

今この時にあるすべては、生きている証。


過去記事です

   2014/10/24  今、考えていること  
   2015/03/28  いつもやっていること  
      2014/10/17  今、起きていること   

最後までお読みいただきどうもありがとうございました。
 

先日サラ・バーカー先生と、記念に写真を取りました。KIMG0390
先生とっても素敵です。

教えて頂いたことを振り返りながら、まだ整理できていませんが、
印象に残ったことや、思ったことを書いてみます。



ティーチングメソッドクラスにて。

身体に方向性を感じていく体験のために、
<パートナーを伸ばしていくワーク>がありました。

先生の言葉に従って、優しく動いて触れていくことをし、
少しの刺激と動きを与えています。

自分の動きのすべてが相手に伝わっていき、
触れられる人は自分から何かすることを手ばなして、
動かされるままでいます。


お互いに、身体の様子や呼吸を意識して観察していると、
またあらためていろいろ気付がありました。

こんな厚みがあるね。こんな重さがあるね。
こんな動きもあるね。
呼吸が変わるね。穏やかになるね。

鎖骨・肩甲骨から腕、指先へと触れらていったとき、
あれー!?腕はビューっと伸びていきました。

腕は思っていたよりもっと長かった。

脚ももっと長かった。

腕や脚をもっと長く使えるのだと思えると、
身体が広がっていくような気分です。


普段、胴体の方にキュッと引き込んでいたのね。

関節にはプレッシャーがかかっているのだな。

プレッシャーは変えられそうだな、今はどうだろう・・・?
首にはカーブがあったな~。


身体の動きかた、身体の様子の認識は、
こんな体験によっても、さまざまに変わっていきます。



前回(1昨年)演奏を見て頂いた時。

先生の手のサポートで、その時の私の感覚では、
上向きの方向性のほとんど椅子から立ち上がれそうな身体で弾いている時、
チェロに何もしていないくらいで、これまでにない鳴り方をしました。

え~!?、この楽器はこんな音がするの!!と衝撃でした。

余計なプレッシャーが響を妨げているのね!とわかりました。


身体の動きの方向性の意識の変化が、
楽器の響きの概念をも変えてしまいました。

身体の使い方で、
こんな風に鳴るんだ!という喜びや、信頼がうまれます。


そんな体験を得て、
どんな風に何を考えていくかを学びます。


今やりたいことは何か?

起きていることは何か?

そして、どんな方向性があるか。


楽器は身体の前にある。(下でなく!)

脊椎は頭に向かい、頭は上前に向かって動いて行ける。

身体は下からのサポートで上へ向かって動いて行ける。

頭が動けるような身体全体でつながる。

脚のサポートのある胴体で、腕の自由さがある。
などなど・・・。



そして今回は、
演奏にまつわる身体と心のざわざわを、
静めることをして頂いたように思います。


しなくちゃいけない、あれやこれや、上にとか、ちゃんとやろうとか・・・。
身体が、今すぐやりたがっていること。

先生の手は、
私の身体に向かって、そっと押し当てています。

なだめるように、落ち着けるように。

時間をかけて、
手と身体に意識を向けながら何もしない(動かない)でみる。

楽器を弾こうとして、座って、弾かないでいる。
「数分の間でもやってみたらいいのよ。」と先生。

弾かないことを選ぶのも、練習。
身体に意識を向けてみる。


そしてそれから、やりたいことをやる。

やりたがっていることに、
ちょっと時間を与える事が出来るように。

すぐやりたいという刺激に気付く。
待つことが出来る。


身体が静まるように気付いていく時間でした。


それから、3度の重音の連続を、少しみていただきました。
私は思わず「手の形をみてください」と言っていました。

「形・・・」。先生は私の手を導きながら、
何度も何度も、指板へ添わせて触れる手をフワッととかわします。

じゃまするというより、違う所へ誘う感じです。
あえて手を定めることをしない動き。


腕を引きこんでいたことに気がついて、
腕が長くなることを思いだし、
指先から動いていく様子をしばらくやってみます。


さて、音の場所に指が向かって、重音を弾いていくと、
どれもぴたりと気持ち良く響きました。

その時、何とも楽ちんに、
まるで手が勝手に音を取ってくれるようでした。


あらかじめ入る身体や手への刺激を静めたとき、
手はそこへ行くやり方を知っている!と思えました。
この信頼は大きいと思います。

音を思うことで手が動く。

指先が繊細に選べるように、
動きの自由さを持たせ、先に手を形作らない。

動きたいとき、
余計な動き・余計な緊張なく動きだすことができるように。


今この瞬間を選ぶ。
やろうとすることについて、意識的に方向性を思う。

身体と心はつながっていて、
楽器やまわりとつながるように。


今ここにいて、
その時をちょっと待つことができ、
そして選ぶことができるように。 



最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。 


関連過去記事

2015/02/10 音を思う時
2015/02/19 指先につながる 
2014/07/05 触れるとき 

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