先日、東京文化会館の小ホールでのコンサートに参加させて頂きました。

芸術の殿堂である、あの舞台に上がるのか。
そう思うだけで、緊張してきました。

素晴らしいホール、きっといい響きに違いない。
そう思うと、響が演奏を助けてくれるのだと思えました。


コンサートに向けて、自分の状態や気持ち、その時の周りの様子を受け止めてみることを、実際にやってみました。
少し長くなりますが、流れを追って振り返り、書いてみました。



数日前

ホールのリハーサル室で練習がありました。
早めに行って、会館の周りを歩いてみました。

上野公園は緑が豊かで、美術館がいくつもあり、動物園もあり、土曜の夕方はたくさんの人で賑わっています。
どっしりと落ち着いた建物、ガラス張りのロビーからの明かりが見えます。
建物をぐるりと外からゆっくり見ていきました。
ホールの裏に野球場があることに、はじめて気がつきました。
夕刻、まだ明るかったですがナイター照明がついて、試合をしているようでした。
日が長くなってきたな、と思いました。夏至の少し前でした。
ネット越しにその様子を見ている人もたくさんいました。
公園に集う人たちの、生き生きとした活動があり、そしてまた、穏やかな時間が流れています。
小ホールロビーから見える景色を、周囲の公園の方からゆっくり眺めてみると、
なるほど、美しい眺めはこのように良く考えられ、整えられているのだな~と思いました。

中に戻っていくと、大ホールはバレエの公演が終わって、撤収作業をしていました。
大きな衣装ケースが楽屋周りにたくさん並んでいます。
ラ・バヤデールだったようです!
(二キヤの踊りではチェロの美しく悲しいメロディーが奏でられるのです♪)
道具がどんどん片づけられていく気配、ホールそでから聞こえてくる音や声。
華やかなにぎわいの後の舞台裏のお仕事を垣間見ました。

リハーサルでは、共演者の皆さんのお顔を良く見よう~と思ってみました。
録音も取ってみました。
それでも、まだかなり緊張感がありました。

その後、どうしたらいいかなと~思い、頂いたプログラムのお名前をひとりひとり読んでみていると、この方たちと一緒に演奏するのだなと、なんだかあらためて演奏へ気持ちが高まりました。



前日

アレクサンダー・テクニーク教師になられた先輩に、なんとサポートをお願いすることができ、じっくりと本番の為のレッスンをして頂きました。

今どんなことを考えているかを問いかけられ、
自分の気持ちを言葉にし、
身体への気付きをもてるよう、働きかけてくださいました。

どんな思いがある?
役目を充分に果たせるだろうか。
どんなことを大切にしたい?
共演者と音楽と、共にあるように。

どんな風に考える?
こう思って弾いたら?
そうすると、身体は、演奏はどうなる?

目はどう見えている?周りはどんな風に見えている?
楽譜を見ようとする目にも緊張があることが分かります。
見えている、聞こえている、情報は向こうからやってくる。
そう思えると、身体は緩むことができました。
空間認識、自分のいるところからある場所への意識をつなげどんどん広げていくと?
今の立ち位置を明確にしていくと、頭の中だけのぐるぐるする思考から抜け出せるようです。

身体の立体、身体の後ろ側もあり、側部もある事を思う。
椎骨の椎体は身体を支えてくれている。
反対方向へ、かかる負荷に対抗する、抗重力のパワーの仕組みが身体の中にある。
身体の脇の部分もある事を思うと、胴体のつながりは肋骨や肩甲骨と腕の動きをを支え、そのつながりをもって伸びやかに動ける。
などなど、まだいろいろありました。

いろんな問いかけや提案を受けてみますと、思考が演奏に即影響することがわかります。
思いだしていくことで、思考の変化で起きることに、
「ああ、そうだな」と、あらためて信頼を持つこともできました。
自分への働きかけは、
頭が動けるようにと思い、そうすることで自分全体がついてくる。
いつも、またここから始めよう。


たくさんの問いかけを整理してみると、
やはりパフォーマンスの為に大切な4つの要素にまとまりました。

・自分全体の伸びやかなあり方を選ぶこと。
・作品、歌詞やメロディー、音楽ヘの理解・共感。
・共演者や聴衆とつながる。関わってくれている人達への感謝。
・空間認識を持つ。会場、周りへの広がり、音響がみな関わっている。

思いを巡らせ、それぞれとつながってみる。
今のそのままの自分でやろう。
ねばならねを手放していい。
楽しもう


当日

ロビーの様子もぐるりと歩いて良く眺めてみます。
先日外から眺めていましたので、ホールの周りもイメージできます。
昼間のロビーは、夜とはまた違う雰囲気ですね。

ホールではピアノが調律しています。じゃまにならないよう、静かに客席を歩いて、触って、いろんな場所から眺めてみます。
KIMG0465
壁や、椅子や、通路の質感。
温度や匂い。

色合いや、陰影、光。
この青い椅子は、卒業した音大のホールと同じようだな~と、親しみを覚えました。


もう一度、先輩が来て下さいました。(感謝!!)
大切なこと、つながるものを思い出します。

足の下に、頭の上に、後ろに、見えないそのずっと奥にも広がりがある。
舞台、ホール、舞台そで、ロビー、楽屋、建物、公園、地面、夜空、星。
その関係性の中にあることも思ってみる。

頭が動けるようにして、そうすることで自分全体が働くことを信頼する。
そうやってやっていくのだ、と思う。


それからリハーサルが始まり、その響を聴きながら、客席にしばらく座ってみます。
扇形の配置の客席からの眺めは、銀色の波型の独特な反響板が大変印象的です。 

ステージからは、客席の奥から斜めに天井が高く広がり、全体が銀色に光を反射していてとても美しかった。
その下に広がる空間は、銀の光に柔らかく包み込まれるような感覚でした。

音響は、とても素晴らしかったです。KIMG0467
気持ち良く響いて、ああ、やっぱりすごいホールです。

共演者とのコミュニケーションが大切です。
演奏位置を試してみたり、バランスを聴いて頂いたり。

ゲネプロをし、段取りを確認し、よし、これで本番を迎えるのだ、という皆さんの高揚感が満ちてきてます。
この場に共にいられることを嬉しく思い、感謝の気持ちが沸いてきます。


そして本番

600人を超える満席のお客様と共にコンサートが始まりました。
楽しいお話や豊かな音楽が、その場を見事に作りあげていきました。

さあ、舞台袖から出ていく時、実際に満席のお客様の眼差しを受け、
笑顔で歩きだすことができました。
できることを、今精一杯やるしかない。

周りと自分と切り離すことなく一緒にいて、つながりながら、
一つ一つ、今やることを、その時その時大切に思いながら、
頭と身体に気付きながら、方向付けながら、
そこに(ここに)いることを、やってみよう!
と思うことができました。

役目をなんとか終えることができました♪
十分に果たせただろうかと、問うことはたくさんあるのですけれど、
それでも、とてもいい日だったと思えます。

どんな自分でそこにいられるかは、
どんな考えをもてるかということに尽きる

ということを体験しました。


サポートして下さった江利子先輩*、ありがとうございます。(*関連記事あり)
そして共演者の頼もしい存在に支えられ、
知的で暖かく、情熱を持った皆さんと共に過ごせたこの幸せに、感謝しています。
打上げも和やかで、美味しくて、とても楽しかったです。
クール・ルシャンの皆さま、ありがとうございました。


聴きに来て下さった方たちの感想では、
素晴らしい歌声はもちろんのこと、
お話や構成の凝ったコンサートをとても楽しまれていました。
素晴らしい集客力にも、驚かれていました。
私も、次回は是非聴きに行ってみたいと思います。


最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。


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