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演奏する時の緊張について、みていただくことにしました。
翌日弾く事をリクエストされた曲を、弾いてみようと思いました。


先にお話された楽器と自分の関係を作る事について考え、楽器とゆっくり向き合う時間がありました。


『楽器をあなたの上で休ませてあげて
自分自身と出会う・・・
ただ習慣的でない自分に

習慣的な自分の使い方から来る局所的緊張を解く事で 
必要だと思ってやっていた習慣的なふるまいをしないようになり
そして習慣的にしていた考え方をしなくなる
ひょっとしたら そこに恐れがなくなっているかもしれない

そしていつもとちょっと違う 楽器の持ち方に気付くでしょう
唯一注意を向ける事は 楽器を演奏する事
演奏するふるまいの中で 可能な限りたくさんのものを見つけること
そしてそれ以外の事は 勝手に起こります』



演奏してみます。
もっと違うように弾きたいのに、うまくできない・・・

『どんなふうに弾きたいの?』

楽器はもっと鳴ってくれるのに、音楽はもっと美しいのに・・・
というのがその時の私の思いでした。

『楽器が子供のように近くへ来て寄り添っていると、感じることはできるでしょうか
あなたもその楽器が近づいている事を、受け止めてみてください

楽器と共にあることへの感謝を持つ その楽器が演奏させてくれる事に
それと同時に、楽器からのあなたが演奏してくれることへの感謝も
そして感謝されるという事は、とても心地の良い事です

演奏できない事はやろうとしないで それを使って出せる音を、探求して見て下さい
感謝を持って、演奏してみてください』

それから、すうっと静かに楽器と向き合って弾くことができました。


演奏する場面がどんなに難しさを感じる状況でも、自分の席が、居場所があることはほんとうに幸せなことです。
聴いて下さるお客様にも感謝の気持ちを忘れないでいたいですし、何とかやり遂げようと思います。

その時意識のどこかで、弾かねばならない、上手く弾かねば・・・という義務感や、恐れにとらわれているのです。
信頼され任されたことを思い出して、感謝して、シンプルにもっとっもっと楽器と向き合うということができたら。



その後、中学校の先生をされている方の、生徒たちに語りかける、というアクティビティがありました。
音楽する今日の受講生を、昨日卒業式で送りだした生徒さん達の将来の姿としてみたてて応援する、心からのメッセージを語りかけて下さったとき、私もお世話になった小学校の先生を思い出して、涙がこぼれました。

なぜこの楽器を弾くのか?という問いの答えの中の一つに気付きました。
ああ、先生が私にこの楽器と出会わせて下さったのだった・・・。

楽器とテキストを渡された時。音楽準備室の様子や先生の笑顔が、ふと思い出されました。
何の迷いもなく喜んでこの楽器を受け入れて、そしてそれからずっと一緒にいたのだったと。
私の愛する事になったのです。

今はもうお会いすることはできないけれど、こうしてまだ弾いていますと、心の中で報告しました。
先生の愛情に感謝が溢れてきました。
そんな思いもまた、私の中にあって私の一部なのでした。



最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございました。